子育て研究コラム

理事コラム|柳田 信之さん③

感幸(観光)都市のブランディングを手掛ける柳田信之さんが考える「町づくりと子育て」をお届けします。

【子どもによる支援 まちづくり】

高層ビル、マンションが立ち並ぶ都心の再開発、綺麗に舗装された道路と並木道、
そこに暮らす人々は家の中から通勤、通学、お買い物の場まで、タイル、アスファルト、コンクリートの上で過ごしているに違いない。


子ども達は自宅でゲーム、学校ではパソコン、友達とはSNS、なんと非自然な暮らしであろう。
精神を病む子供が増えるのは当然である。


コロナをきっかけにそんな都会を離れ自然あふれる地方、郊外への移住が増え始めている。
リモートワークが定着すればもっと加速するであろう。


初めて踏む雑木林の土、川泳ぎ、湖畔での焚き火やキャンプ、生きた魚を手掴みする。
見た事もない大きな蜻蛉、キラキラ光るトカゲ、そんな体験発見に子供達は大はしゃぎ。
私たちの子ども時代当たり前だったことが今や大冒険、大発見なのだ。


空飛ぶ車、宇宙観光は近い将来実現するだろう。
しかし川や畑、森や海で育った人間の細胞や感覚、情緒はそんな自然が育んでくれたものである。


近代のとしまちの開発は人間の「心の壞発 -かいはつ‐」になりつつある。
自然は支配し、人間の豊かさの為に利用すべきもの……という考え方が最早通用し無くなった。
「自然はあるがままに保たれ、地球の摂理に委ねられる」当然人間の生き方もそれに従う事になる。


科学の進歩は興味深い、便利な暮らしはウエルカムだ。
しかし穏やかでゆったりとした時の流れ、人々の心のつながり、子ども達の元気に遊ぶ姿、笑顔、歓声、人々はどんなに癒やされるだろう!
そんな子ども達の姿こそが大人たち、高齢者にとって最も効果のある癒しであり介護になろう。


大人が子どもを支援するのではない!
子どもに大人が支援される時代になる。否、そうしなければならない。
まちづくりをするものの要諦である。


柳田 信之さん

大手専門店に入社。開発室、店長、商品開発部、社長室マーケティング部、営業企画マネジャーなど中枢部要職を歴任。

理事コラム|柳田 信之さん②

感幸(観光)都市のブランディングを手掛ける柳田信之さんが考える「町づくりと子育て」をお届けします。

【動物達の子育てに学ぶ!】

生命の本質は他の命への役立ちにある。(私の変わらぬ考え方で有ります。)
1、同世代の他の命……仲間の生命を助け自分以外の子を育てる動物もいる。最たるものは人間である。
2、次世代の子孫の命……これを残す為全ての生物は自らの命をかけて戦う。
メスは強い雄を求め選び、雄は雌を求めて争う。
巣造りに苦労し、出産してからは外敵から子どもを守り餌を運ぶ、
成長に合わせて餌の取り方を教えそして自立させてゆく。


この行為は人間と変わらない。
ただ違いがあるとすれば人間の出産の多くは一度に一人であり、
自立させるまで長い年月がかかるということである。
生物学的にクールにいうなら
出来るだけ子育ての失敗をへらしたいのである。


少し前までは両親だけでなく、
祖父母、下町や田舎では近所の人達も一緒になって子育てを手伝ってきた。
現在では都会化社会、核家族が進みこの仕組みはくずれてしまった。
それをカバーすべく保育園、託児所、ベビーシッターの仕組みが出来たものの、
食事が出来ない子ども、身体的、精神的、発達等の支援が必要な子どもたちに対して
その対応は大変遅れているのが現状といえよう。


更に少子化問題は深刻になりつつある。
女性の生き方が多様になり、非婚、晩婚の女性が増えている。
また、子育ての不安や経済的な負担により子どもを育てにくい社会となっている。


そこで子ども支援と少子化の視点を変えてみよう。
1 生まれてきた子どもの食育、健康、知育は国が責任を負う
2 希望する子どもの人数を産める
3 シングルマザーを支援する「社会の仕組みとして支援、法律で支える」
4 里親制度を確立する


勿論親子の絆を育む、サポートの仕組みや社会性を学べる教育の仕組みも今の状況から変える必要がある。
北欧諸国では既にこんな方向で進んでいる。
少子化と子ども支援を同時に進めるには、こんな方法がいいのではないのか?
動物たちも状況に合わせて色々な生き方で子ども支援をしているではないか!
そんな社会に町の風景も随分変わっってくるだろう。
お国を動かす事も考えねばならないか?

柳田 信之さん

大手専門店に入社。開発室、店長、商品開発部、社長室マーケティング部、営業企画マネジャーなど中枢部要職を歴任。

理事コラム|柳田 信之さん①

感幸(観光)都市のブランディングを手掛ける柳田信之さんが考える「町づくりと子育て」をお届けします。

【町づくりと子育て】

現在私はまちづくりのお手伝いをする仕事をしています。
そのなかで思うことは、
理想的なまちづくりのために
その土地を有効的に利用し
インフラを整えたとしても
そこに住む人の意識や想いや文化を受けとめて
人繋がりを高める場づくりを考慮していかねば
本当の街づくりにはなりません。
これは、子育てにも似ていて、
いくら立派な家に住み不自由のない生活をしていても
親の想いや愛情が注がれなければ
子どもは健全には育たないのと似ています。


確かに昨今のスーパーテクノロジーの進化には
目を見張るものがあります。
空飛ぶクルマ、自動運転車、循環エネルギー、バーチャル・クローン人間、AI、IOT、3Dによる物作り、
未来のまちづくりにはこれらの技術を取り入れた
スマートシティ化は当たり前になりました。
しかし高度の科学の進化と人間の幸せな暮らしが
必ずしも一致するとは限りません。
過度にデジタル化されたまちは
人間の生体のリズムを超え、
生きる上で不自然な社会をつくり上げることに
なりかねません。
ITやロボットの指示通りに暮らす
チャプリンの「モダンタイム」のデジタル版
になる恐れがあります。


既にアメリカではその現象が現れ始め、
若者は朝起きるとまずパソコンに向かい、
自分の趣味や仕事と関係ない情報に
アクセスするそうです。
それを何回も繰り返し、
検索によって自分の思考性や好みを分析され、
情報や商品案内で溢れないように
企業のAIの情報処理を混乱させているのです。
いつでも自分の好きな情報を入手できる状況は、
一見便利で良さそうに思えますが、
その人の好奇心や考える力を奪ってしまうことにもなるのです。
手軽な豊かさは人間を堕落させ、
安易な便利さは人間を劣化させます。
もしこれからの子どもたちが
そのような状況に慣れてしまったらどうなるでしょう


新型コロナの影響で、
すでにまちの中の子どもたちが活動する地域や学校、
家庭の在り方が変わってきています。
子どもたちを取り巻く環境も
急激なIT化を余儀なくされています。
この変化が子どもたちの成長や心身に
どのように影響していくかは
もう少し時間を掛けないとわかりません。


持続可能な開発も環境の保護、クリーンなエネルギー、飢え、差別、教育など
現在見えている課題だけでは十分ではありません。
まだ見えていない問題を孕むこれからの世の中であっても、
子供たちが健やかに育ち、大きな可能性と夢を広げられる
まちづくりをするのが私たちの責任だと思っています。


商業施設、オフィス、病院、住宅、公園などのハードといわれるものだけではなく、
そこに生きる人たちが「幸せを感じる」まちづくりが
これからの日本には、ますます必要になるでしょう。
情感を育み、自然の恵み、文化や歴史の香りを感じる
まちづくりをしたいと考えています。


柳田 信之さん

大手専門店に入社。開発室、店長、商品開発部、社長室マーケティング部、営業企画マネジャーなど中枢部要職を歴任。